フィッシャーマンのためのフィッシングカフェ


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カズさんからの手紙 10

カズさんからの手紙 10
(この物語はフィクションです。)

会員証は100万円

今の僕にそれが多いのか少ないのかはわからなかった。
お金の計算をするのは何だけど、例えば今後10年間、1年に10回ずつここへ通ったとすると百回。
会員証は100万円。
宿泊は無料、飲食費のみ。
決して無理のないところなのだろう。
年に10回位がカーティス・クリークたる所以かもしれないし。
そんなせせこましい計算をぶっとばしたのが壁に掛かっている剥製である。
あたかも水面からジャンプしたかのような姿の黒駒湖の王者。
「レインボートラウト75cm
釣入 波瀬 和之
2030年6月8日
尻尾岩先端にて」
鋼板プレートにはそう刻まれている。

「では、ちょっとやってみましょうか。」
コーヒーを飲み終えたカズさんが立ち上がった。
壁に掛かっているロッドを二本取ると、ネービーのワッチキャップをかぶりブルーのウィンドブレーカーを着た。
その背中にトラウトのイラストと『黒駒湖アングリング倶楽部』の文字が白く書かれてあった。
僕はちょっとよろけるように立ち上がると眼鐘の曇りをふきとりながらその後を追った。
バルコニーでは例の狼のような犬が小首をかしげて見送ってくれた。

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by kftkubo | 2013-01-28 17:46 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 8

カズさんからの手紙 8
(この物語はフィクションです。)

黒駒湖にて 

c0239720_1838576.jpg


車から降りるとひんやりとした空気が僕を包んだ。
黒駒湖は既に初冬のにおいがした。
僕はこの季節が一番好きだ。
夏に伸び切ってしまったような空気が少しずつ緊張感を高め、ピーンと張りつめたギターの弦の様にこの季節には高音がよく似合う。
僕の心の弦もたちまち張りつめてくる。
それにしても今日は少し暖かめの格好をしてきて良かった。
ウールのシャツとダウンベストが今はとっても有り難い。
「とりあえずあちらでコーヒーでも飲みましょう。」
古葉さんの指す方向に大きなログハウスがあった。
ログハウスに近づくとバルコニーのあたりから何か大きな動物がこちらに向かってくる。
犬だ。
まるで狼のような大きな犬が、古葉さん目がけて走ってくる。
そしてヒゲ面の大男の古葉さんとその大犬が抱きあいじゃれあっている。
そのバックにはログハウスがあり、その右手方向には美しく紅葉した天然林が広がり、左手にはベージュの湖岸、青き黒駒湖が広がっている。
そしてすべてを見下ろす形で紫色の山並みがあるのだ。
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by kftkubo | 2013-01-20 18:38 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 7

カズさんからの手紙 7
(この物語はフィクションです。)

「黒駒湖」の話

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古葉さんとしては個人の資産としての湖や山には執着はないこと。
最近の日本では少なくなってしまったブナ・ナラの雑木林の山を手付かずで残すには私立の公園という形しかないと考えているらしいこと。
ところが山火事などの自然災害や密猟・漁などの人的災害を防ぐための私設レインジャーが十名は必要なところ、現在カズさんのほか2名とのこと。
湖の管理だけで精一杯といった現状であるらしいこと。
かかった経費などで一億円近い借金もあるらしいこと。
話を聞くと深刻な問題を抱えているようなのだが、カズさんは淡々と話し、古葉さんは時折相槌を打ちながら口をはさむが、他人事のような口調であった。
しかしその中にも二人の情熱が感じられた。
きっと二人は好い人なのだろうな、もちろん友人の紹介だから信用はしているけど。
この車の中の雰囲気のようなクラブなのだろうと思った。
もうすぐ黒駒湖に着くらしい。
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by kftkubo | 2013-01-17 07:35 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 6

カズさんからの手紙 6
(この物語はフィクションです。)

古葉さんとカズさん

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車の中で開いたことは次のようなことである。
オーナーの古葉さんとカズさんは小学校からの同級生であり、ともに37歳になる。
古葉さんの家はこの辺では有数の名家らしく、これから行く黒駒湖とその周辺の山林はすべて古葉家の私有地なのだそうである。
そして2年前に古葉さんの父上が他界しかなりの財産が残されたこと。
次男の古葉さんは釣りと自然保護に強い関心を持っていることもあり、黒駒湖と周辺の雑木林の山を相続した。
そしてフライフィッシングの師でもあるカズさんや仲間の協力を得て、従来岩魚と山女魚がチラホラとしか釣れなかった湖にレインボートラウトやブラウントラウトを定着させ仲間内で楽しんでいたが、管理の限界を感じたこと。
もっと広く同志を募り交流を深め、自然保護とフィッシングを両立させようということになったこと。
それには会員数は1,000人が限度であり、1人100万円の出資で十分に賄えるということ。
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by kftkubo | 2013-01-14 15:09 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 5

カズさんからの手紙 5
(この物語はフィクションです。)

カズさんとの出会い

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昼食を平らげ頭の中で独り言をつぶやいていると、ディーゼルの音とともに青いランドクルーザーが目の前に止まった。
運転席と助手席から2人の男が降りてきた。
僕の視界の中に男たちの服の色が強烈に飛び込んできた。
運転席の男がブルー系、助手席の男が紅葉カラーであった。
ブルーの男が口を開く。
「窪田さんですか?私が波瀬です。「カズ」と呼んでください。そしてこちらはオーナーの古葉です。」
紅葉カラーの男が手をさしのべる。
「始めまして。古葉です。」
さっそく車に乗り込む。
「ここから約1時間の道のりです。」
古葉さんが振り返らずそう僕に告げた。
バッファロースプリングフィールドの『ブロークン アロウ』がかすかに流れていた。
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by kftkubo | 2013-01-11 18:00 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 3

カズさんからの手紙 3
(この物語はフィクションです。)

二通日の手紙

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あの不思議な手紙が届いてから約1ヶ月がたっていた。
うんざりするような残暑もようやく終わりを告げようとしている頃であった。
2通目の波瀬さんからの手紙が来た。
今度の手紙は前回と違いワープロで、待ち合わせ時間などの用件だけが書かれてあった。
ビジネスライクなその文字は、具体的になっていく今回の話に妙な真実味を持たせる。
でもなぜか僕は前回のようなファンタジックというか眉ツバ物というか、どことなく現実離れした気分にさせてくれる波瀬さんの手書きの手紙のほうが好きだったのであるが。
「10月の第1日曜日、K駅の駅前広場にある大きな銀杏の木の下のベンチで午後12時に待て」とのことであった。
列車は1時間に1本くらいしかなく、結局45分も前に着いてしまった。
よく考えると自分は客の立場であるはずなのだ。
そんな自分が何だか少しばかり腹立たしくもありおかしくもあった。
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by kftkubo | 2013-01-04 22:21 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙

カズさんからの手紙 No.1

 2011年3月11日の東日本大震災から20年という歳月が流れた。

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 2031年 夏、こんな手紙が届いた。
拝啓 残暑厳しき折から、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
しかし季節は今年もめぐってくるようで私の住む黒駒湖畔では、空の高さや風のにおい木の葉のほんの少しの色づきに秋のおとずれが早くも感じられる今日この頃です。
 さて突然このような手紙を差しあげたのには理由があります。
実は、3年後の春を目標として会員制の釣り俱楽部を発足させようと現在計画しております。
私どもが管理しております黒駒湖(人造湖)に於いては、従来岩魚、山女魚、桜鱒の稚魚放流を行い、加えて餌となるワカサギも放流し、それぞれ順調に育っております。
昨年秋には念願のブラウン鱒の自然産卵が流入河川に於いて確認されました。
続いて今年の春には難しいといわれている虹鱒の自然産卵が見られるようになり、今後は成魚放流を一時中断し完全なネイティブな鱒が育っていくよう精一杯努力するつもりであります。
たぶん3年後には、北米やニュージーランドの鱒にも負けない奴らがあなたのフライロッドを引き絞ることでしょう。
言い忘れましたがとりあえずこの俱楽部では、フライフィッシングオンリーという方向で行くつもりです。
(私個人としてはルアーフィッシングも捨てがたいのですが。)

 当初100名の会員にてスタートして3年後の発足時には300名に、そして最終的には3,000名を限度として会員を募集しております。
会員権のお値段は現在100万円としていきまして、これは少々というか大変高いと思われるでしょうがあなたにとってのカーティス・クリークが手に入ると考えていただければ決して高い買い物ではないと思います。
入会に当たってはかなり厳しい規約を設けました。
詳しくは直接お会いしてお話さていただきます。
 紳士だけの素晴らしい釣り俱楽部とするため最善の努力をしていますので是非ご検討くださいませ。
巨大なネイティブ トラウトと闘い、そしてログキャビンでとびきりの料理とナチュラリスト達との語らいそんな黄金の時がきっとあなたのものになるのです。
 最後にあなた様のことは会員№017の佐藤様より推薦していただきました。
すべて会員の推薦という形式で仲間を増やしております。
さらに詳しいお話は後日黒駒湖畔の当事務所でお話ししたいのでご都合の良い日時をご連絡ください。

                              黒駒湖アングリング俱楽部 開設準備局
                              波瀬 和之
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by kftkubo | 2012-12-18 19:43 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

オイカワと戯れて 

オイカワと戯れて 

昨年の11月に18年ぶりにフライフィッシングを再開した。
昔使っていた釣道具を屋根裏部屋から引っ張り出し,歩いて5分くらいの近場の川へ行ってみた。
狙うはオイカワ。

予想に反して2時間弱で10数匹のオイカワがヒットした。

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まだ、魚釣りの神様は私を見捨てていないようだ。
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by kftkubo | 2012-02-17 16:57 | フライ フィッシング | Comments(0)