フィッシャーマンのためのフィッシングカフェ


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カズさんからの手紙 51 2033年 黒駒湖の幕開け

カズさんからの手紙 51
(この物語はフィクションです。)

2033年 黒駒湖の幕開け

ビューン、ビューン。
約五か月ぶりに聞く、カズさんの風を切るシンキングラインの音。
流れ込みでは、やわらかくバンブ一ロッドを振る古葉さんの姿も見える。
2033年 黒駒湖の幕開けの日だ。
今日一日は僕達スタッフだけの日となっている。
明日からはまた、いろいろな人達がこの湖にやって来るだろう。
今日は釣り人のひとりとして、心からここの釣りを楽しみたい。
この冬はほとんど黒駒湖へ来られなかった。
雪がとても多かったということもあるが、実際のところ、僕自身の本業の仕事のほうが忙しかったのだ。
心の糧の26日のためと、それ以外の自分の釣りのため、有給休暇をとりすぎて上司ににらまれていた。
たとえ釣りができなくても、月に何度かは黒駒湖には身を置きたいのだけれど。
しかもロッジに電話が入ったために、やたらと古葉さんやカズさん、それにヒマな佐藤さんまでがかけてくる。
やれ冬の黒駒湖を眺めながらやるウィスキーは最高だとか
しかも氷はもちろん湖の氷だって、
クロスカントリースキーでア二マルトラッキングをしてウサギと競争したとか、凍結した湖でワカサギの穴釣りをしてそれを肴に一杯とか
「禁漁なのにいいのか」
と言ったら、トラウトのみ禁漁だといった。
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by kftkubo | 2014-05-24 06:32 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 50 ライズリング

カズさんからの手紙 50
(この物語はフィクションです。)

ライズリング

佐藤さんが続けて言う。
「まあそれはともかく、そろそろこの気温ならライズが始まるじゃないか。」
ライズという言葉を素早く耳にしたカズさんがサッと時計を見た。
「今、2時15分前です。
たぶん2時頃からライズがあります。
この時期になんとドライで釣れますよ。
毛鉤?そうですね、黒のミッジなら問題なし。
カディスでもいいかもしれませんよ。」
カズさんの言葉で古葉夫人と狼大のガイアを残した全員が、すばやく身仕度をして湖に向かって行った。
 僕も少し遅れて湖に向かう。
振り返ると古葉夫人が手を振ってくれた。
ガイも尻尾を振ってくれている。
きっと湖にはライズリングが広がっているはずだ。
知らず知らずのうちに足が早まっていく。
目の前にはまだ雪を残した山並みが広がっている。
僕は春の空気を思いっきり吸い込む。
さあ、僕の心の糧の26日が始まるのだ。
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by kftkubo | 2014-05-05 06:30 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 49 僕の人生の仕事

カズさんからの手紙 49
(この物語はフィクションです。)

僕の人生の仕事

 誰ともなく拍手が起こった。
みんなが古葉さんの話に賛成し、感動していた。
僕もちょっと目頭が熱くなって、その感動の汗がこぼれ落ちないようにしながら激しく柏手をした。
三才になる息子の顔が浮かんだ。
アイツにこの駒黒湖の美しさを教えてやりたい。
本物の自然な美しい湖の素晴らしさを。
そのためにもここを守らなければ。
 古葉夫人が、とてつもなく優しい眼差しで古葉さんを見ていた。
僕はなぜかとてもドキドキしてしまい、思わず湖の方に目をそらした。
 真っ赤な目をしてクチャクチャのバンダナで鼻をかみながら、佐藤さんが
「よかっただろう、俺が紹介して。」
僕は深く二度うなずいた。
そしてあの日カズさんからの手紙が来なかったら。
実際これは僕の人生の仕事になると思う。
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by kftkubo | 2014-04-03 22:15 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 48 ハックルベリ・フィンとトム・ソーヤ

カズさんからの手紙 48
(この物語はフィクションです。)

ハックルベリ・フィンとトム・ソーヤ

 ここの雑木林にはセミもいます、クワガタもいます。
川の石にはしっかリカジカがはりついています。
野生動物や野鳥もたくさんいるし、食べられる木の実もたくさんあります。
 私は今、提案します。大人たちのためだけのものでなく、釣師のためだけでもなく、ハックルベリ・フィンやのためにも時々ここを開放したいと。
 例えば夏休みにはサマーキャンプを企画して、探検や冒険をするのです。
ぜひ皆さんも賛成して協力して頂きたい。
 そして長くなりましたけど最後に、すべてはこの黒駒湖がこの美しさでずっと存在し、しかも増殖していくことが基本です。
とりあえず明日から禁漁日までこのシーズン、がんばっていきましょう!スミマセン、長々としゃべっちゃって。」
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by kftkubo | 2014-03-13 06:51 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 47 地球上の子供達のために

カズさんからの手紙 47
(この物語はフィクションです。)

地球上の子供達のために

しかし川の状態は最悪です。
まず周りはすべて護岸されています。
そしてゴミが非常に多く、生活雑排水が入っています。
そんな川で生きている魚も哀れですが、そんなところでしか釣れない子供達も本当に可哀想でしたね。
もうちょっとしたらフライを教えて、ここで本当の釣りを教えてやりたいのですけどね。
それにしても釣り以外でも今の子供たちは可哀想ですよ。
セミ採りもトンボ採りもカジカ突きも知らずに大人になっていく。
ほかに楽しいことがあるにせよ、ファミコンやラジコンカーではあまり悲しすぎます。
みなさんは私と同様の子供時代を過ごした、幸運な大人なのです。
そっとおやじの道具箱から持ち出したトンカチで作った秘密のアジトが、台風の翌日にコナゴナになっていた嘆き、そんな感じ、ここにいる方ならわかっていただけると思います。
そういった経験はかけがいのないものなのです。
だから私は自分の息子のために、皆さんの子供たちのためにこの黒駒湖と周辺の自然を残したい。
地球上の子供達のためって言っちゃうと、ちょっと恥ずかしいし、荷が重いですからね。
それに何より私自身がいい釣りをしたかったのが一番ですけど・・・アハハッ。
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by kftkubo | 2014-02-27 08:01 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 46 黒駒湖解禁まであとわずか

カズさんからの手紙 46
(この物語はフィクションです。)

黒駒湖解禁まであとわずか

今年も釣師たちのシーズンが始まる。
いろいろな人達が、それぞれのスタイルで釣りをする。
おおきさを求める人、数を求める人、子供みたいに自由に遊ぶ人、老人みたいに形式にこだわる人。
今シーズンも我、黒駒湖では、いい魚をいい景色野中でいい人たちにいい気持ちで釣っておらおということがテーマである。
それにはやはり守ってもらわなくちゃならないルールもある。
僕たちは理性ある少年でいたい。
なんてね。
でも今日みたいにバカみたいに楽しい釣りもいい。
みなさんすみません。
これも黒駒湖レインジャーの特権です。
さあ今夜はうまい魚を腹いっぱい食うぞ。黒駒湖解禁まであとわずか。
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by kftkubo | 2014-02-10 18:50 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 45 人格者の釣り

カズさんからの手紙 45
(この物語はフィクションです。)

人格者の釣り

「ようし、いける。」
さっきまでウィスキーの氷雪ロックばかり飲んでいた古葉さんがそれを見届けると手元のディパックからルアーのパックロッドとルアーの一式を取り出しセットし始めた。
そして丁寧に穴の中の氷をアミですくうとルアーをポチャンとそこへほうりこんだ。
そしてシャクルこと数回。
「きたー。」
の叫び声。
見るとパックロッドの先がグングンと水面に向かっておじぎをしている。
「なんですか、古葉さん。」
「たぶん岩魚だね」。
ここ数日暖かかったからきっとくると思ったのだ。
それは45cmの丸々と太った岩魚だった。
そして次に僕がロッドを借りて釣り上げたのが50㎝近いレインボー。
久しぶりの黒駒湖の鱒の手ごたえ。
「あー、きたねーぞ窪田。」
佐藤さんが叫びつつしっかりとタックルをセットしている。
マルス氏などはなんと2セット持って来ていて僕に1セット貸してくれた。
そして僕たちは漁師になり子供になった。
それぞれが2~3匹釣ると古葉さんが腰を上げながら言った。
「今日はこれくらいでいいでしょう。一応僕達は人格者の釣りを啓蒙していく立場ですからね。ハッハッハッ」。
僕も笑った、佐藤さんもカズさんも。
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by kftkubo | 2014-02-02 18:40 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 44 ワカサギの穴釣り

カズさんからの手紙 44
(この物語はフィクションです。)

ワカサギの穴釣り

というわけで、私は今、黒駒湖の上にいます。
禁断症状もピークに達した某日、黒駒湖管理人アシスタントというとてもうらやましい仕事についた旧友の佐藤さんから電話があり、ワカサギの穴釣りをやるから来いとのこと。
もう僕は喜びいさんで愛車の旧型パジェロを駆って雪深い黒駒湖に向かったことは言うまでもなかった。
黒駒湖はかなりの部分が白い水で覆われていた。
以前は必ず全面氷結したというが、近頃ここ数年の暖冬で部分氷結にとどまっているという。
しかし、先日のドカ雪で白一色に染まった黒駒湖は圧倒的に〝冬〟であった。
「きたっ!」またカズさんの声だ。
最初は久しぶりで嬉しかったけどこう度々大声で叫ばれると嫌になってくるな。
しかもたかがワカサギ釣りなのに。
僕の竿にはあたりもこない。
たよりの古葉さんはさっきから飲んでばかりですっかり出来上がっているし。
そうなのだ。
今回のワカサギ釣りのメンバーは古葉さん、カズさん、友人の佐藤そして僕の4人だった。
そしてせっかくだから2組で競争して負けた方が今夜の夕食担当ということになった。
そして組んだペアがカズさんと佐藤の管理人ペアと古葉さんと僕のペア。謀られたよな。
考えてみればかなうわけないもの現地人には。
波瀬さんって、ああみえて結構策略家だしな
そんな愚痴めいたことをブツブツつぶやきながら竿を上下に動かしていいあたりがあった。
クーンク-ンと手ごたえがある。
よーし、久しぶりの一匹だと思いつつ上げようとすると急に激しいあたりがそれに続いた。
竿が一気にのされると、抵抗する間もなくロッドがパッキンと折れ、ついでにラインも切られて氷の隙間の水面へと没していった。
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by kftkubo | 2014-01-19 19:23 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 43   

カズさんからの手紙 43 
(この物語はフィクションです。)

シーズンオフの釣り師

シーズンオフの釣り師ほど役に立たないものはない。
それでも禁漁になったその年内は数々の苦い思い出、辛い記憶も新しくどちらかというとある種の解放感があることも確かである。
魚にとってはもちろん人間にとっても心休まる時期なのだ、なんて思ったりもする。
しかし、年が明け初詣でに行き「今年こそ大物が釣れますように。」なんて事を願い出す頃はもうそろそろ禁断症状の始まりである。
あの辛い日々も時の流れとともに美化されて行き、「あの時は釣れなかったけど一人川のせせらぎを聞きながら大岩の上で食ったニギリメシはうまかったな。」とか、「あの時もう50cm右に俺のフライが着水していたら確かに40cmオーバーの岩魚は俺の手の中にあったのに。」
なんてことが次々とうかんでくる。
それでもしばらくは管理釣り場などで時をうっちゃるのだが、夕暮れ時にフッと頬を撫でる風が妙になまめかしくなってくるともう駄目だ。
「行きたい!さわりたい!」水の音、風の音、ライズの音。
ラインから電流のように伝わる鱒達の躍動。
釣り上げた鱒の冷たいけど何故かぬくもりのあるあの感触。
時折ボンヤリと遠くを見ているような人がいたらそれは間違いなくシーズンオフの釣り師か、ちょっと危ない人である。
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by kftkubo | 2014-01-12 16:23 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 42

カズさんからの手紙 42
(この物語はフィクションです。)

息子の話

全員がすっかり満腹し、酔いも少々まわってきた頃、古葉さんがいつもよりちょっと低い声で話し出した。
「今日はみなさん、解禁おめでとう。
ついでにウチのヤツの誕生祝いまでしてもらって本当にありがとうございました。
さて、ちょっとここで堅い話をさせてください。
私には今、みなさんご存じのように7歳と3歳の息子がいます。
上の子はやはりご存じのように現在ルアー釣りに夢中になっています。
その子が友人たちと釣りに行って、まあなかなかのサイズのヤマメやらニジマスやら釣ってくるのです。
そこで私が助平心をだして訊くわけですよ、
「ポイントを教えろ。」って。
最初は友達との秘密のポイントだから嫌だ、なんて言っていますけどね、私のアワビのルアーを2~3回ちらつかせると、すぐに食いついてくるのですね、これが。
まあそんなわけで行くのですよ、そのマル秘ポイントヘ。
確かによく釣れるのですよ。
7歳の子供が釣れるのだから当たり前と言えば当たり前なのですが。
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by kftkubo | 2013-12-31 22:35 | カズさんからの手紙 | Comments(0)