フィッシャーマンのためのフィッシングカフェ


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カズさんからの手紙 11

カズさんからの手紙 11
(この物語はフィクションです。)

ログハウスから湖まで

ログハウスから湖までは、ゆっくり歩いて5分くらいの距離だそうだ。
白樺の多い林の中は、若干の上り坂になっている。
10月といえばまだ枝にはしっかり色づいた葉が付いていて、林の中に入るとかなり薄暗く、また、上り坂の為ほとんど下を向いて歩いていた。
林と砂浜の境が坂の頂になっていて、そこに立った途端に十月の眩しい日ざしに輝く駒黒湖が素晴らしい紅葉をバックに、圧倒的な強さで目に飛び込んできた。
大切に守られてきた世界がここにはあるのだな。
こんな場所でこんな日に釣りができるなんて。
僕の心はそれだけで満たされてしまったようだ。
今度は渚まで下り坂になっている砂浜を一気に駆け降りる。
すでにカズさんはロッドにリールをセットし始めていた。
「右手に見えるのが大前川の流れ込みで一番のポイントになります。
そしてさらにその先50mくらいに、もう一本小貝川の流れ込みがあり、まあそちらが第二のポイントでしょうか。
他にもいいポイントはいくつかありますが、今日のところは時間もないし、とりあえず手前の流れ込みでやってみましょう。」
カズさんは毛針までセットしてくれたフライロッドを僕に手渡すと、猫背気味の後ろ姿を残しつつ静かに素早くポイントへと歩いていった。
カズさんから手渡されたロッドはS社の9f-7番ロッドであった。
さらにリールはH社のものであり、ラインはフローティングラインが巻かれてあった。
僕には少々素晴らしすぎる道具のようだ。
そして肝心の毛針はというと、緑色の小さなタワシとしか見えない代物が、チョコンとフックキーパーにくっついていた。
偏光サングラスをかけた表情は窺い知れないが、カズさんはすでにフォルスキャストを始めていて、視線は湖面に注がれている。
僕の存在など忘れているようだ。
彼の釣りをしばらく眺めて見ることにした。

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by kftkubo | 2013-01-31 19:25 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 10

カズさんからの手紙 10
(この物語はフィクションです。)

会員証は100万円

今の僕にそれが多いのか少ないのかはわからなかった。
お金の計算をするのは何だけど、例えば今後10年間、1年に10回ずつここへ通ったとすると百回。
会員証は100万円。
宿泊は無料、飲食費のみ。
決して無理のないところなのだろう。
年に10回位がカーティス・クリークたる所以かもしれないし。
そんなせせこましい計算をぶっとばしたのが壁に掛かっている剥製である。
あたかも水面からジャンプしたかのような姿の黒駒湖の王者。
「レインボートラウト75cm
釣入 波瀬 和之
2030年6月8日
尻尾岩先端にて」
鋼板プレートにはそう刻まれている。

「では、ちょっとやってみましょうか。」
コーヒーを飲み終えたカズさんが立ち上がった。
壁に掛かっているロッドを二本取ると、ネービーのワッチキャップをかぶりブルーのウィンドブレーカーを着た。
その背中にトラウトのイラストと『黒駒湖アングリング倶楽部』の文字が白く書かれてあった。
僕はちょっとよろけるように立ち上がると眼鐘の曇りをふきとりながらその後を追った。
バルコニーでは例の狼のような犬が小首をかしげて見送ってくれた。

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by kftkubo | 2013-01-28 17:46 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 8

カズさんからの手紙 8
(この物語はフィクションです。)

黒駒湖にて 

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車から降りるとひんやりとした空気が僕を包んだ。
黒駒湖は既に初冬のにおいがした。
僕はこの季節が一番好きだ。
夏に伸び切ってしまったような空気が少しずつ緊張感を高め、ピーンと張りつめたギターの弦の様にこの季節には高音がよく似合う。
僕の心の弦もたちまち張りつめてくる。
それにしても今日は少し暖かめの格好をしてきて良かった。
ウールのシャツとダウンベストが今はとっても有り難い。
「とりあえずあちらでコーヒーでも飲みましょう。」
古葉さんの指す方向に大きなログハウスがあった。
ログハウスに近づくとバルコニーのあたりから何か大きな動物がこちらに向かってくる。
犬だ。
まるで狼のような大きな犬が、古葉さん目がけて走ってくる。
そしてヒゲ面の大男の古葉さんとその大犬が抱きあいじゃれあっている。
そのバックにはログハウスがあり、その右手方向には美しく紅葉した天然林が広がり、左手にはベージュの湖岸、青き黒駒湖が広がっている。
そしてすべてを見下ろす形で紫色の山並みがあるのだ。
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by kftkubo | 2013-01-20 18:38 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 7

カズさんからの手紙 7
(この物語はフィクションです。)

「黒駒湖」の話

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古葉さんとしては個人の資産としての湖や山には執着はないこと。
最近の日本では少なくなってしまったブナ・ナラの雑木林の山を手付かずで残すには私立の公園という形しかないと考えているらしいこと。
ところが山火事などの自然災害や密猟・漁などの人的災害を防ぐための私設レインジャーが十名は必要なところ、現在カズさんのほか2名とのこと。
湖の管理だけで精一杯といった現状であるらしいこと。
かかった経費などで一億円近い借金もあるらしいこと。
話を聞くと深刻な問題を抱えているようなのだが、カズさんは淡々と話し、古葉さんは時折相槌を打ちながら口をはさむが、他人事のような口調であった。
しかしその中にも二人の情熱が感じられた。
きっと二人は好い人なのだろうな、もちろん友人の紹介だから信用はしているけど。
この車の中の雰囲気のようなクラブなのだろうと思った。
もうすぐ黒駒湖に着くらしい。
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by kftkubo | 2013-01-17 07:35 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 6

カズさんからの手紙 6
(この物語はフィクションです。)

古葉さんとカズさん

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車の中で開いたことは次のようなことである。
オーナーの古葉さんとカズさんは小学校からの同級生であり、ともに37歳になる。
古葉さんの家はこの辺では有数の名家らしく、これから行く黒駒湖とその周辺の山林はすべて古葉家の私有地なのだそうである。
そして2年前に古葉さんの父上が他界しかなりの財産が残されたこと。
次男の古葉さんは釣りと自然保護に強い関心を持っていることもあり、黒駒湖と周辺の雑木林の山を相続した。
そしてフライフィッシングの師でもあるカズさんや仲間の協力を得て、従来岩魚と山女魚がチラホラとしか釣れなかった湖にレインボートラウトやブラウントラウトを定着させ仲間内で楽しんでいたが、管理の限界を感じたこと。
もっと広く同志を募り交流を深め、自然保護とフィッシングを両立させようということになったこと。
それには会員数は1,000人が限度であり、1人100万円の出資で十分に賄えるということ。
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by kftkubo | 2013-01-14 15:09 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 5

カズさんからの手紙 5
(この物語はフィクションです。)

カズさんとの出会い

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昼食を平らげ頭の中で独り言をつぶやいていると、ディーゼルの音とともに青いランドクルーザーが目の前に止まった。
運転席と助手席から2人の男が降りてきた。
僕の視界の中に男たちの服の色が強烈に飛び込んできた。
運転席の男がブルー系、助手席の男が紅葉カラーであった。
ブルーの男が口を開く。
「窪田さんですか?私が波瀬です。「カズ」と呼んでください。そしてこちらはオーナーの古葉です。」
紅葉カラーの男が手をさしのべる。
「始めまして。古葉です。」
さっそく車に乗り込む。
「ここから約1時間の道のりです。」
古葉さんが振り返らずそう僕に告げた。
バッファロースプリングフィールドの『ブロークン アロウ』がかすかに流れていた。
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by kftkubo | 2013-01-11 18:00 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

カズさんからの手紙 3

カズさんからの手紙 3
(この物語はフィクションです。)

二通日の手紙

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あの不思議な手紙が届いてから約1ヶ月がたっていた。
うんざりするような残暑もようやく終わりを告げようとしている頃であった。
2通目の波瀬さんからの手紙が来た。
今度の手紙は前回と違いワープロで、待ち合わせ時間などの用件だけが書かれてあった。
ビジネスライクなその文字は、具体的になっていく今回の話に妙な真実味を持たせる。
でもなぜか僕は前回のようなファンタジックというか眉ツバ物というか、どことなく現実離れした気分にさせてくれる波瀬さんの手書きの手紙のほうが好きだったのであるが。
「10月の第1日曜日、K駅の駅前広場にある大きな銀杏の木の下のベンチで午後12時に待て」とのことであった。
列車は1時間に1本くらいしかなく、結局45分も前に着いてしまった。
よく考えると自分は客の立場であるはずなのだ。
そんな自分が何だか少しばかり腹立たしくもありおかしくもあった。
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by kftkubo | 2013-01-04 22:21 | カズさんからの手紙 | Comments(0)

野生魚を追え!! 「オレンジの衝撃」

野生魚を追え!! 「オレンジの衝撃」
4月 多摩川遠征

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川崎河川漁業協同組合「マルタ部会」の方たちの地道な努力で蘇えった野生魚「マルタウグイの天然遡上」圧巻でした。
産卵のために遡上した野生魚は当然ながら食い気がありません。
口へのフッキングの難しさ痛感しました。

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野生魚の顔-追星

産卵期の野生魚にはドラマがあります。
遡上魚であるマルタウグイが繁殖期になると,特有のオレンジ色の体色を示し、追星と呼ばれるブツブツとした白斑が現れます。
追星は、産卵期の雄の頭部、背、胸鰭、尻鰭などに現れる白色の瘤状小突起物で皮細胞が異常に肥大・増成した二次性徴であり、性ホルモンの分泌によって促進されます。
追星の機能は産卵のために、巣やテリトリーをつくるものでは、侵入者に体をぶつけ、追い星で傷を与えて追いやる効果があります。
また、雄が雌を突いて性的刺激を大きくすることもあります。

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by kftkubo | 2012-12-15 17:56 | 野生魚を追え!! | Comments(0)

野生魚がピンチです

野生魚がピンチです

栃木県農務部生産振興課 水産担当から「魚類の放射性物質検査結果について」発表がありました。(2012.04.25)
成魚放流まもない渓流魚より、その水域に住み続けている「野生魚」であるウグイは放射能汚染の影響をもろに受けているみたいです。
これが現実だと思います。
「野生魚」が人間に警鐘を鳴らしています。


魚類の放射性物質検査結果について
http://www.pref.tochigi.lg.jp/g05/houdou/gyoruihousyanoukensa120426.html

放射性物質の河川の魚類への影響を確認するため、4月16日から4月24日にサンプリングを実施した魚類について、その検査結果が判明しましたので報告します。
今回の検査では、天然魚5魚種(アユ、ヤマメ、ウグイ、ワカサギ及びフナ)43検体を対象としました。
アユについては、今年度初めて検査した結果、思川(栃木市大光寺町)で採捕した検体から、放射性セシウムは検出されませんでした。
ヤマメについては、27検体全てにおいて基準値(100Bq/kg)を下回りました。
このうち、男鹿川(日光市川治温泉)で採捕したヤマメについて、1か月以内の検査結果(3回)が全て基準値(100Bq/kg)を下回ったことから、下記1のとおり、関係漁業団体に対して行っていた解禁延期要請を解除することとしました。
ウグイについては、黒川(那須町沼野井)、余笹川(那須町稲沢)、那珂川(大田原市八塩)及び大芦川(鹿沼市草久)で採捕した検体から、基準値(100Bq/kg)を上回る放射性セシウムが検出されたことから、下記2のとおり、関係漁業団体に対して採捕自粛を要請することとしました。


       
1 渓流魚の解禁延期要請を解除する区域
(1)日光市小網ダムより上流、同市川治ダム及び五十里ダムまでの鬼怒川本支流

2 ウグイの採捕自粛を要請する区域
(1)茨城県境より上流の那珂川本支流(ただし、那須町矢組堰より上流の那珂川本支流、那須塩原市塩原ダムより上流の箒川本支流、那須烏山市森田頭首工より上流の荒川本支流及び茂木町馬門の滝より上流の逆川本支流を除く)
(2)鹿沼市下大久保堰より上流の大芦川本支流

検査結果(PDF:158KB)
http://www.pref.tochigi.lg.jp/g05/houdou/documents/kensakekka.pdf

このページに関するお問い合わせ
栃木県農務部生産振興課 水産担当
〒320-8501 宇都宮市塙田1-1-20 県庁舎本館12階
電話番号:028-623-2351
ファックス番号:028-623-2335
Email:seisan-sinko@pref.tochigi.lg.jp
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by kftkubo | 2012-04-26 09:13 | 河川の放射能汚染 | Comments(0)